ついに、中国資本の台湾投資解禁

【台北=山本勲】台湾の馬英九政権は6月30日、野党の強い反対を押し切って中国資本の台湾投資を解禁した。豊富な中国資金の流入を見込んで株価や不動産 が上昇する一方、企業乗っ取りや技術盗用などによって台湾の経済・産業が中国に牛耳られることへの懸念も根強い。1949年の中台分断以来初めてのことだ けに、馬政権・野党とも中国側の出方が測りがたく、暗中模索のスタートといえそうだ。

 台湾経済部(経済産業省に相当)が発表した中国資本の第1次解禁リストは、製造業、サービス産業、公共投資の3分野の計100業種(台湾方式の分類では192業種)から成っている。

 このうち製造業は、自動車、パソコン・電子部品、機械、繊維製造など、サービス産業は通信、卸・小売業、運輸業など、公共投資は空港・港湾施設建設の一部などを盛り込んでいる。

 一方でハイテク産業(半導体、液晶パネル、発光ダイオード、太陽光発電など)や軍事産業、鉄鋼・化学などの基幹産業は解禁を見送った。台湾の産業競争力や軍事・安全保障が中国に脅かされることを防ぐためだ。

 経済部は、当初は解禁対象を絞り、成果を見守りながら段階的に開放度を上げていく方針という。

 中国企業の投資解禁を好感して台湾の株価や不動産は翌日から上昇。加権指数(株価指標)は1日、146・81ポイント、2日は88・56ポイントの連騰で6667・53と、約1カ月ぶりに6600台を回復した。

 不振の不動産市場でもにわかに売り惜しみが始まった。1日付の台湾紙「聯合晩報」によると、台北市内の不動産物件が解禁発表直後に約1割上がったが、売り主側はさらなる上昇を見込んで取引を拒んでいるという。

 市場が投資解禁効果を先取りする一方で、民進党など独立派勢力の反発、警戒は収まらない。当局は「台湾企業の中国投資が累計で771億ドルを上回る一方、中国の台湾投資を禁じてきたこと」(経済部)を台湾経済不振の一因として今回の解禁に踏み切った。

 これに対して独立派系の台湾紙「自由時報」は2日の社説で、「台湾内の投資不足と貯蓄過剰の原因は先行きへの不安にある。中国の労働集約・資本集約産業 の台湾投資は、台湾企業の技術・経営ノウハウ吸収が狙いで、台湾企業の強大なライバルを作ることになる」と批判している。

 野党、民進党も「通信や空港、港湾などの開放は台湾の安全を脅かす」(蔡英文主席ら)として政権批判を強めている。

 反政権陣営が一様に警戒するのは台湾の「香港化」だ。香港では97年の中国復帰前から中国企業の進出が活発化、現在では「2700余りの中国系企業が 2200億米ドルの資産を保有、これは香港の株式時価総額の40%以上に相当する」(6月16日付人民日報紙)というのが現実だ。

 中国共産党の機関紙、人民日報は「中国企業が香港経済の安定と繁栄に貢献している」一例としてこの統計を示しているが、逆に台湾住民の警戒心を強める結果を招いている。


経済新聞




Links