3「ネットテロリスト」という職業

中国世論を操る
「ネットテロリスト」という職業
 




ネットで人気のある話題は「3つの情」、すなわち情感、情欲、情緒に総括できる。この3つの言葉に関係するトピックが、高アクセスを記録している。

立二のようなネット仕掛け人が人気を集めるに従い、新たな職業「ネットテロリスト」が出現した。企業から依頼を受け、その企業のライバル会社をネットで攻撃するのだ。彼らにとって、会社を一つ潰すことくらい訳もないことだ。有名ブランド飲料の容器に虫を一匹入れ、事件を捏造してネットに流すだけでいい。

ネットテロリストによる罵倒や攻撃が飛び交い、中傷合戦が過熱するなか、ブロガーに頼る企業も出てきた。カリスマブロガーのブログは企業にとって、低劣な書き込みより数段格上の宣伝になる。

IT業界には有名なブロガーが数十人いる。彼らはIT業界におけるオピニオンリーダーとなっており、ことあるごとに自身のブログに意見を発表し、世論を牽引する。カリスマブロガーは企業と一般大衆の間に立ち、大きな影響力を有しているのだ。

それだけに、特定の企業にとって不利になる文章がブログに掲載されると、ネットを監視する広告会社から「槍文(攻撃文)」と見なされ、削除を要請されることもある。このような文章は既存のメディアでは流しにくいが、ブログでは数多く見られる。一方で、企業を擁護してポジティブな宣伝を行う「軟文(温和な文)」も存在する。既存のメディアでは多く見られたが、ネットでも影響力を発揮している。

多くの「軟文」を生み出してきたのが、商業紙の記者が頻繁に参加する企業の記者会見だ。記者は事前に準備されたリリースを企業から受け取り、多少手を加えて新聞に掲載する。報酬は「心づけ」と呼ばれる封筒だ。中には数百~数千元の現金が入っている。「軟文」は昔から、メディア界の暗黙の了解となっている。

新聞に比べ、ブログの「軟文」の操作はさらに簡単だ。新聞やテレビのように正式な検閲もなく、お金のかかる記者会見を開く必要もない。広告会社への電話1本で、企業の望む文章がネットに流れる。報酬は1本500元(約7000円)程度。あるブロガーは、40分もあれば簡単な「軟文」が1つ書けるという。やましさはまったく感じていない。ブログに「軟文」を載せることで、自分の執筆権を金に換えているだけだ、と開き直る。
 
この国では、インターネットも市民ジャーナリズムの土壌にはなり得ないのだろうか。
 

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from CHINA「南方週末」(中国語)より

NANFANG ZHOUMO:中国の週刊誌。150万部発行。1984年創刊。独自取材をもとに書かれたルポルタージュが有名。汚職関連の告発記事も多く、政府当局から警告を受けることもある。その報道姿勢は共産党上層部の気に障ることもあり、度々当局から厳重な警告を受け、編集幹部が追放されたりしている。記事は長文で、不必要な情報も多いが、雑誌の視点が独自なので読むに値する。取材は中国南部のみならず、中国全土をカバー。84年、広東省で共産党が発行していた日刊紙、南方日報の週末付録として発刊されたが、人気が出たのは90年から。南方日報グループのなかでかなり業績のよい刊行物の一つとなっている。南方日報グループは99 年に独立したが、現在も共産党の指導下にある。



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